今月のTAXニュース

TAXニュース4月号

「贈与税の申告漏れに注意!」

贈与税の実地調査の 77.8%が無申告事案

 税務調査の中で、贈与税は無申告の事案が多いと言われる。納税者から申告があった有申告の事案と
無申告の事案と実地調査の状況に違いはあるのだろうか。

 国税庁が公表している最近の資料によると、令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月)において
2,847 件の贈与税の実地調査を行なっている。

 そのうち、申告漏れ等の非違が見つかったものは 2,630 件で、行なった実地調査の 92.4%から
何らかの非違が見つかったことになる。さらに、この申告漏れ等の非違が見つかった 2,630 件の
84.2%を占める 2,215 件が無申告事案であった。無申告事案に対する調査が多いことがこの資料
からも窺える。

 また、贈与税の無申告が明らかとなった場合、延滞税と加算税が課されることになる。加算税は
その状況によって税率が異なるが、事実の仮装・隠蔽が行われたとされると重加算税として 40%
(加重措置を受けると 50%)にもなる場合がある。

 先の同庁の公表資料でも追徴税額は合計で 108 億円にも上る。令和4事務年度に比べ実地調査
件数については対前事務年度比97.9%と減少したものの、申告漏れ課税価格は 264 億円で対前
事務年度比 123.1%、追徴税額は同じく 137.5%となり特に税額は大きく増加している。

 現金の授受でも安直な判断は禁物だ。同資料でも財産別にみた非違件数(延件数)は現金・預貯
金等が最も多く全体の 63.9%(1,824件)を占めており、以下、有価証券 14.4%(412 件)、家屋
1.4%(41 件)、土地 3.2%(91 件)などとなっている。

 このように、無申告事案が多くを占めていることから、国税庁では積極的に資料情報を収集す
るとともに、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努め、無申告事案を中心に贈与税の調査を
的確に実施していくとしている。贈与を受けた場合は、安易に考えず適正な対応が必要である。

☆加算税☆
 加算税には、修正申告や更正があった場合の「過少申告加算税」、申告しない場合や期限後に
申告した場合にかかる「無申告加算税」、仮装・隠蔽がある場合の「重加算税」等があります。
過少申告加算税は追加税額の5~15%、無申告加算税は5~30%、重加算税ともなると35%か 40%で、
加重措置を受けると最高 50%にもなります。このほかに期限内に申告納付しないと、未納付の
税に対する利息的な意味合いのある延滞税が課されます。