TAXニュース

TAXニュース7月号

全国の地価動向 全用途平均で4年連続上昇

地方圏は観光需要と工場進出が大きく影響

 全国の地価の指標の一つである令和7年の公示価格が公表された。全国平均では、
全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、全用途の上昇率では
前年の令和6年の 2.3%を上回る2.7%に拡大している。

 今回の全体的な特徴としては、景気が緩やかに回復している中、地域や用途に
より差があるものの、東京・大阪・名古屋の三大都市圏では上昇幅が拡大し、
地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いている。

 地域別に見ると、三大都市圏では、東京圏と大阪圏については上昇幅の拡大
傾向が継続しているが、名古屋圏では上昇幅がやや縮小した。また、地方圏では、
札幌市・仙台市・広島市・福岡市の地方四市では上昇幅がやや縮小したものの
その他の地域では概ね拡大傾向が継続している。

 上昇率拡大の背景には、主要都市部を中心としたホテルや商業施設等の需要
の高まりや、首都圏はもとより万博開催地の大阪圏など各地の再開発などがあり、
商業地・住宅地ともに地価を上昇させたほか、低金利が続き投資マインドも引き
続き順調なことも影響したとみられる。住宅地は交通と生活の利便性により、
東京・大阪圏では高い上昇率を示し、リゾート地・観光地では外国人向けの別荘需
要や地元の住宅需要などを背景に引き続き高い上昇となった地点がある。

 そのほか、大手半導体メーカーの工場が進出している地域では、関連企業も含めた
社員向けの住宅需要、事務所・ホテル・店舗等の需要も旺盛となり、引き続き住宅地、
商業地、工業地ともに高い上昇となった。

 また、大型物流施設用地等に対する需要を背景として高速道路等へのアクセスが
良好で労働力も確保しやすい工業地でも引き続き高い上昇となった地点が見られた。
一方、令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた地域などでは地価が大きく下落
しており、変動率の明暗を分けている。

☆公示価格☆
 公示価格(公示地価)とは、地価公示法に基づいて、国土交通省の土地鑑定委員会
が都市計画区域等の標準地を選定して、毎年1月1日時点の1m2当たりの正常な価格を
判定し、公表している土地の価格です。全国約2,200 人の鑑定評価員(不動産鑑定士)
が全国の 25,500地点余りについて選定と確認を行い、分科会等における議論を経て
鑑定評価した価格に基づいて判定しており、一般の土地の取引価格の指標にもなっています。