TAXニュース

TAXニュース3月号

無申告事案 過去最高の 123 億円を追徴

令和5事務年度の相続税の調査状況を公表

 国税庁はこのほど令和5事務年度(令和5年7月〜令和6年6月)の相続税の調査の状況
を公表した。8,556 件(対前事務年度比 104.4%)の実地調査を行い、このうち申告漏
れ等の非違件数があったものは 7,200 件(同 102.3%)で、追徴税額は 735 億円
(同 109.8%)となり、いずれも前事務年度から増加している。

 また、無申告事案については、690 件(前事務年度比 97.9%)の実地調査を行い、
申告漏れ課税価格は 752 億円(同 101.5%)、追徴税額は 123 億円(同 111.4%)、
1件当たりの追徴税額は 1,787万円(同 113.8%)となった。実地調査件数は前事務
年度より 2.1%減少したものの、申告漏れ課税価格、追徴税額とも増加している。
特に追徴税額は、公表を開始した平成 21 事務年度以降では最高となっている。
同庁では、資料情報の収集・活用などを通じ無申告事案の把握のための取組を積極
的に行い、的確な課税に努めるとしている。

 そのほか、同庁では納税者の資産運用の国際化に対応し、CRS情報(共通報告基準
に基づく非居住者金融口座情報)をはじめとした租税条約等に基づく情報交換制度
などを効果的に活用し、海外取引や海外資産の保有状況の把握も進めている。
その結果、海外資産関連事案に対する実地調査件数は 947 件で前事務年度比
112.1%と増加している。

 また、実地調査を実施する一方、「簡易な接触」も積極的に行なっており、件数
については前事務年度から 25.2%増えて 1 万 8,781件だった。申告漏れ等の非違
件数は 5,079 件(対前事務年度比137.8%)、申告漏れ課税価格は 954 億円(同 139.0%)、
追徴税額は 122 億円(同 140.8%)と、いずれも簡易な接触に係る事績の公表を始
めた平成 28 事務年度以降で最高となった。同庁ではこの手法も効果的・効率的に
活用し、適正・公平な課税の確保に努めていくとしている。

☆簡易な接触☆
 原則として納税者宅等に訪問することなく、文書、電話による連絡または来署依頼に
よる面接を行い、計算誤り等がある申告内容を是正するものです。納税者に対しては
自発的な申告内容の見直しなどが要請されます。所得税、法人税、消費税でも行われて
いて、所得税は約 55 万8,000 件(申告漏れ所得金額 4,448 億円)、法人税は7 万件
(同 92 億円)、の簡易な接触を行っています(令和5事務年度等)。