国税庁によると、個人に対する今年6月までの1年間(平成27事務年度)の所得税調査は、 前年度(74万件)に比べ12.2%減の65万件行われました。そのうち、約61%に当たる39万6千件 (前事務年度46万6千件)から同1.5%増の8785億円(同8659億円)の申告漏れ所得を見つけま した。その追徴税額は同6.5%増の1074億円(同1008億円)。1件平均135万円(同117万円)の 申告漏れに対し17万円(同14万円)を追徴しました。 実地調査における特別調査・一般調査は、前年度に比べ2.0%減の4万8千件を実施、うち約88% に当たる4万2千件から同4.7%増の総額4522億円の申告漏れ所得を見つけ、同7.2%増の746億円 を追徴。件数では全体の7.4%に過ぎないですが、申告漏れ所得金額全体の51.2%を占めました。 調査1件あたりの申告漏れは941万円と、全体の平均135万円を大きく上回ります。
また、実地調査に含まれる着眼調査は、前年度比2.8%減の1万8千件行われ、うち1万3千件 から同4.8%増の722億円の申告漏れを見つけ、52億円を追徴。1件あたり平均申告漏れは402万円。 一方、簡易な接触は、同13.1%減の58万4千件行われ、うち34万1千件から同3.0%減の3542億円の 申告漏れを見つけ、277億円を追徴。1件あたりの平均申告漏れは61万円でした。
実地調査トータルでは、前年度比2.9%減の6万6千件の調査を行い、うち5万5千件から同4.7%増 の5243億円の申告漏れを見つけ、798億円を追徴。つまり、実地調査件数は全体の10.2%と1割に過ぎ ないですが、申告漏れ所得全体の約6割(59.7%)を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度 ある調査を的確に実施する一方、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が 実施されていることが裏付けられました。
国税庁は毎年2千万人を超える所得税確定申告者に対し、効率的・効果的な調査を実施しています。 実地調査における特別調査・一般調査は、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度 ある調査です。また、実地調査に含まれる着眼調査は、資料情報や事業実態の解明を通じて行う短 期間の調査です。一方で、実地調査までには至らないものは電話や来署依頼による“簡易な接触”で 済ます調査が行われています。