株式会社を新規設立するに当たり、まず悩むことの一つは資本金をいくらに
したらいいかということでしょう。
2006年の会社法の施行に伴い、最低資本金制度が撤廃されたため、現行法上
は資本金の金額を自由に決めることができます。極端な話、1円でも会社設立
は可能です。ただ、資本金はその会社の信用にも関わってきます。会社の登記
簿謄本には資本金の額が記載されており、誰でも見ることができます。
資本金の額は、その会社の規模や財政的な体力を確かめる上で重要な目安と
なるため、新たな取引先が登記簿謄本を見たときに、資本金1円の会社と取引
したいとは思わないかもしれません。また、金融機関から融資を受ける際の
審査においても、資本金の額は重要な審査項目の一つとなり、場合によっては
金融機関から融資を受けられなくなる可能性もあります。さらに、事業開始
当初に必要な運転資金を資本金で賄うケースも考慮する必要があります。
一方、資本金の額によって、税務上の取扱いが異なるケースが多々あります。
資本金が1000万円未満の会社は第1期目・2期目の消費税納税義務が原則的
には免除されます。ただし、第1期目開始の日以後6ヵ月間の課税売上高又は
給与支払額が1000万円を超えた場合は、第2期目の消費税納税義務は免除され
ません。また、資本金が1000万円以下の会社であれば、都道府県や市区町村に
納付する均等割が最低金額(7万円)で済みます。
こうしたことを考慮すると、特に比較的小規模な会社の設立を考えているので
あれば、資本金を1000万円未満(1000万円では不可)にすれば、設立初年度
(第1期目)の消費税納税義務が免除され、なおかつ法人住民税の均等割りに
ついても最低額の7万円(市町村民税5万円+道府県民税2万円)で済むとい
うことになります。
したがって、100万円~900万円の範囲で資本金を決めるのが妥当ではないか
とみられています。
☆☆取締役の数☆☆
取締役の数については、取締役会を設置する場合は3名以上の取締役と1名
以上の監査役が必要です。ただ、発行済み株式の全てを譲渡制限付き株式に
すれば、取締役会を設置しなくてよいので、取締役1名でも会社設立はでき
ます。取締役の任期は原則2年で、2年ごとに重任登記が必要になり、その
都度費用が発生しますが、これも譲渡制限付き株式にすることで取締役の
任期を最長10年まで伸ばすことができます。