TAXニュース

TAXニュース10月号

「事業用資産買換え特例」の適用要件に注意

全ての要件に当てはまることが必要!

 

個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡

して、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得し、

その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供したときは、一定の要件のもと、

譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となる

わけではない)。これを事業用資産の買換えの特例といいます。

 

この特例を受けると、売った金額(譲渡価額)より買い換えた金額(取得価額)のほう

が多いときは、売った金額に20%を掛けた額を収入金額として譲渡所得の計算を行い、

売った金額より買い換えた金額のほうが少ないときは、その差額と買い換えた金額に

課税割合を掛けた額との合計額を収入金額として譲渡所得の計算をいます。事業用資産

の買換えの特例を受けるためには、以下の要件全てに当てはまることが必要となります。

 

それは、 (1)譲渡資産と買換資産はともに事業用に限られる、(2)譲渡資産と買換資産とが、

一定の組合せに当てはまるもの、(3)買換資産が土地等であるときは、取得する土地等の

面積が、原則として譲渡した土地等の面積の5倍以内、(4)資産を譲渡した年か、その前年

中、あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得する、(5)買換資産を取得した日から1年

以内に事業に使う、(6)この特例を受けようとする資産については、重ねて他の特例(優良

住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等)を適用でき

ない、(7)土地等の譲渡については、原則として、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が

5年を超えていること、(8)譲渡資産の譲渡は、収用等、贈与、交換、出資によるもの及び

代物弁済としての譲渡ではないこと、また、買換資産の取得は、贈与、交換又は一定の現物

分配によるもの、所有権移転外リース取引によるもの及び代物弁済によるものではないこと

が適用要件になります。

 

☆☆代表的組合せ☆☆

上記(2)の組合せの代表的なものとして、東京都の23区、大阪市などの既成市街地等内に

ある事業所として使用されている建物又はその敷地の用に供されている土地等で、その

譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものを譲渡して、既成

市街地等以外の一定の地域(国内に限る)にある事業用の土地等や建物、構築物又は機械

装置を取得する場合、などがあります。