TAXニュース

TAXニュース8月号

インボイス制度における出張旅費等特例

帳簿のみの保存により仕入税額控除可能

 
 インボイス制度においては、従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当等のうち、
その旅行に通常必要であると認められる部分の金額については、帳簿のみの保存による
仕入税額控除ができる出張旅費等特例がある。

 出張旅費等に係る社内規程や基準の有無にかかわらず、また、概算払いによるものか、
実費精算によるものかにかかわらず、通常必要であると認められる部分は特例の対象と
なることとされている。

 「通常必要であると認められる部分の金額」は、所得税基本通達9-3《非課税とされる
旅費の範囲》の例により判定する。それは、使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、
移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、
行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行
に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品である。

 社内規程や基準の有無、概算払いか実費精算に関わらずとは、例えば、社内規程で、
「1回の旅行当たり 3,000 円」とある一方、所得税非課税の範囲は 10,000 円と認めら
れる場合に、8,000 円支給した場合は 8,000 円が特例対象となる。また、何らの規定
もないが、社員が出張にかかった交通費 10,000 円を実費で請求してきたので、支払った
ケースでは、10,000 円が通常必要と認められるのであれば、特例対象となる。

 実費精算が用務先に直接支払っているものと同視しうる場合、通常必要と認められる
範囲か否かに関わらず、インボイスの保存により仕入税額控除ができる。その場合、
3万円未満の公共交通機関など、他の特例の対象になるものであれば、帳簿のみの保存
で仕入税額控除可能となる。「通常必要であると認められる部分の金額」を超える部分
は使用人等に対する「給与」として、仕入税額控除の対象外となる。

☆適用税率の取扱い☆
 従業員等の出張等に際し、その出張等に必要な支出に充てるために事業者が支給する日当は、
仮に従業員等が軽減税率の適用対象となる「飲食料品の購入」に充てたとしても、事業者は
「飲食料品の譲渡」の対価として支出するものではないことから、軽減税率の適用対象となり
ません。一方、事業者が従業員等から受領した領収書等を基に精算する実費精算分は、その
支払いの事実に基づき適用税率を判定することとなります。