TAXニュース2月号
2018年度の税制改正大綱が閣議決定
2018年度の税制改正大綱が閣議決定 所得税の給与所得控除の見直しなどが柱
政府は昨年12月22日、所得税の給与所得控除等や所得拡大促進税制の見直しなどの増税項目が柱となる2018年度の税制改正大綱を閣議決定しました。本年1月22日召集予定の通常国会に税制改正法案を提出し、今年度中の成立を目指します。
主な内容としては、
- (1)所得税の給与所得控除等の見直し
- (2)所得拡大促進税制を見直し、控除率を拡大、賃上げ要件を緩和
- (3)事業承継税制を拡充し、非上場株式の全株の100%について相続税を納税猶予
などがあります。
大綱の目玉である所得税改革は、会社員などに適用する給与所得控除を年収850万円以下は一律10万円減らし、年収850万円超は控除額が年195万円を上限とします。一方で、誰にでも適用される基礎控除は一律10万円引き上げて48万円とします。ただし、所得が2,400万円を超える高所得者は基礎控除を3段階で減らし、所得2,500万円超はゼロになります。所得税の改正としては4年ぶりの純増税となります。適用は2020年1月からです。
所得拡大促進税制は、一定の要件を全て満たした場合に給与総額の増加分の10%を法人税額から控除できる制度ですが、今回の改正で、大企業は、支給額増加率のほか、国内への設備投資額が当期の減価償却費の90%以上という要件が加わり、これらを満たせば、支給総額増加分の15%が税額控除でき、さらに人材投資で一定基準を満たせば20%の税額控除が認められます。
中小企業は、大企業よりも要件が緩く、1人当たりの平均給与等支給額の前年度比は1.5%以上との要件のみ(設備投資要件はなし)で、給与等支給総額の前年度比増加額の15%の税額控除が認められ、さらに人材投資で一定基準を満たした場合は25%の税額控除が認められます。
また、中小企業については、非上場株式を経営者から後継者が引き継ぐ場合の相続税が全額(現行は全株式の3分の2を対象に80%)猶予される事業承継税制の拡充などがあります。
☆☆他の改正項目☆☆
そのほか、
- (1)観光財源の確保に「国際観光旅客税(仮称)1,000円」の創設
- (2)1人年1,000円徴収の「森林環境税(仮称)」の創設
- (3)たばこ税を2018年10月から4年程度かけて1本あたり3円増税、加熱式たばこの税率を5年かけて段階的に引上げ
- (4)相続税の小規模宅地等の特例の見直し
- (5)自営業者等が電子申告利用で青色申告特別控除(最大65万円)を10万円上乗せ
等が盛り込まれています。