平成31年度税制改正は、これから年末に向けて政府税制調査会を始めとして議論が本格化しますが、
主な改正事項を各省庁の税制改正要望から改めて取り上げて再確認してみました。
まず、経済産業省は、(1)研究開発投資の「量」の増加や「質」の向上を促すための研究開発税制の拡充、
(2)ベンチャー企業の成長に必要な国内外の高度人材を確保するためのストックオプション税制の拡充、
(3)新設法人への繰越欠損金制度の拡充を求めました。
厚生労働省は、子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設や未婚のひとり親に対する税制上の支援
措置など「子ども・子育て」対策を要望しました。未婚のひとり親に対する税制上の支援措置は、税制上
の寡婦(寡夫)控除及び住民税(所得割・均等割)非課税が適用されるよう、所得税法及び地方税法上の
「寡婦(寡夫)」に未婚のひとり親を加えるものです。
国土交通省は、空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長などを要望しました。空き家の発生
を抑制するための特例措置は、空き家の譲渡所得の3000万円特別控除について、平成31年12月末までの
適用期間を4年間延長した上で、被相続人の直前居住要件及び建物リフォーム・除去の時点に関する要件
を緩和することで、特例適用対象を拡充し、空き家の発生の抑制を図ります。
金融庁は、NISA制度の恒久化や相続した株式の譲渡における相続税(株式分)の取扱いに関する見直し、
生命保険料控除制度の拡充、教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の恒久化及び拡充などを税制改正
要望に盛り込んでいます。NISA制度(一般・ジュニア・つみたて)については、家計の安定的な資産
形成を継続的に後押しする観点から、恒久措置とすることを求めています。
今後、これらの各省庁の税制改正要望も踏まえて年末に公表予定の与党の税制改正大綱の中身が注目されます。
☆☆文科省の要望☆☆
文部科学省は、ゴルフ場利用税について、平成25年から昨年まで連続して廃止を要望しています。ゴルフは
28年に112年ぶりにリオデジャネイロ五輪で復活し、東京五輪でも実施が決まっていることから、同省は
幅広くゴルフの振興を図る上で重要だとして、31年度改正に向けてもすでに7年連続となる廃止要望を提出しま
した。ゴルフ競技団体や関係業界等を含め、同税廃止に向けた動きを強めています。