TAXニュース

TAXニュース7月号

海外への送金情報を課税当局が把握

海外への送金情報を課税当局が把握 「国外送金等調書」提出枚数が急増!

パナマ文書問題で、タックスヘイブン(租税回避地)の実態の一端が明るみになっていますが、日本の課税当局では、国を跨がる財産の移動や保有を把握するため、法定調書制度を年々拡充しています。

現在、国外財産の把握等に活用している調書は「国外送金等調書」「国外証券移管等調書」「国外財産調書」。課税当局では、納税者から提出された確定申告書の内容と、これら調書を照らし合わせ、申告漏れの有無などを入念にチェックしています。

国外送金等調書は、国外への送金また国外から送金を受領した金額が100万円を超えた場合に、金融機関が税務署に提出する法定調書です。「送金者又は受領者の氏名・名称」「国外送金等年月日」「国外の銀行等の営業所(支店)の名称」「相手国」「本人口座の種類、口座番号」「国外送金等の金額」「送金原因」などが記入されています。

調査官によると、同調書で確認するのは、例えば、日本から海外にある自分名義の預金口座へ多額の送金がある場合は、当該預金の運用益を申告しているか、国外財産調書に記載しているかなどをチェックします。将来相続が発生した場合には、当該預金が相続財産として申告されているかどうかも確認します。海外の家族名義の口座に送金している場合には、贈与税の対象とならないかも検討します。

この国外送金等調書ですが、提出枚数は年々増加しており、平成25年事務年度(平成25年7月~平成26年6月)には631万枚提出されました。10年でなんと2倍超となっています。

■国外送金等調書の提出枚数の推移  (財務省リポートより作成)

事務年度 提出枚数 事務年度 提出枚数
平成16年度 311万枚 平成21年度 473万枚
平成17年度 321万枚 平成22年度 515万枚
平成18年度 369万枚 平成23年度 517万枚
平成19年度 391万枚 平成24年度 564万枚
平成20年度 341万枚 平成25年度 631万枚

※平成21年4月より提出基準が200万円超から100万円超に引き下げられています。

☆☆国外証券移管等調書☆☆

平成26年度の税制改正によって、国境を越えて有価証券の証券口座間の移管を行った場合に調書の提出を義務付ける「国外証券移管等調書制度」が設けられました。 国内の証券口座にある有価証券を国外の証券口座へ移管した場合、又は国外の証券口座にある有価証券を国内の証券口座へ移管した場合に、その国内の証券会社等から税務署へ調書が提出されます。同調書は、平成27年1月1日以後に行われる移管から適用されています。